【検証結果】AIは御社の業績の約6割を、御社以外のサイトから答えている

投資家がAIに「この会社の直近の業績は?」と聞いたとき、AIはどこから答えを持ってくるのでしょうか。御社のIRサイトから、と考えるのが自然です。

IR BASEが30社について、AI(Perplexity・Gemini)に投資家の質問を「普通に」聞き、示された出典をすべて確かめたところ、答えの根拠のうち会社自身の情報だったのは43%でした。残りの6割近くは、株価情報サイトや投資メディア、個人のブログなど、第三者のサイトです。

AIにとって、御社のIRサイトは数ある情報源の一つにすぎません。

答えの根拠は、どこから来ているか

AIが出典を示して答えた1,179件について、出典の種類を分けました。

出典の種類割合
会社自身の情報(自社のIRサイト、IR配信サービス、東証の適時開示)43%
株価・投資情報サイト(Yahoo!ファイナンス、株探など)34%
投資メディア・個人のブログ・書き起こしサイト8%
IR支援会社のサイトに掲載された資料6%
その他(ニュースサイト、企業情報のまとめサイトなど)9%

AIによっても違いがあります。正しく答えたときの根拠のうち、会社自身の情報だった割合は、Perplexityで61%、Geminiでは27%でした。AIによっては、答えの7割以上を第三者のサイトに頼っています。

業績の数字ほど、第三者のサイトから取られる

質問ごとに、会社自身の情報が根拠だった割合を見ると、はっきりした差がありました。

筆者作成

業績の数字や見通しは、6割以上を第三者のサイトから答えています。一方、リスクや強み・戦略といった「会社の考え」は、半分以上を会社自身の情報から答えていました。

これは、別の調査(3,321社)で分かった「業績の数字は、多くの企業でWebページになくPDFにしかない」という結果と重なります(関連記事:「『強み』はWebに、『最新の数字』はPDFに」)。株価情報サイトは、決算の数字をWebページの表で載せています。会社が数字をWebページに出していないと、AIはその数字を、Webで載せている第三者のサイトから取ってくると考えられます。

第三者のサイトの答えは、間違っているのか

第三者のサイトを根拠にした答えが、特に間違いやすいわけではありませんでした。

根拠正しい古い決算期の数字誤り
会社自身の情報90%6%5%
第三者のサイト89%4%7%

多くの第三者のサイトは会社の開示をもとに作られているため、数字そのものはおおむね正確です。

問題は正確さではありません。何を取り上げ、どう要約し、どう解釈するかが、第三者の言葉で決まってしまうことです。個人のブログや投資メディアの記事が根拠になることもあり、御社が意図しない見方で説明される可能性があります。数字が合っていても、その数字の「意味」を語っているのは御社ではないのです。

IR担当者・経営者が考えるべき4つのこと

  1. 御社のIRサイトは、AIにとって「唯一の情報源」ではない AIは、検索で見つかった情報源の中から答えやすいものを選びます。御社のサイトが選ばれるには、AIが答えやすい形で情報が置かれている必要があります。
  2. 業績の数字を、自社のWebページで出す 決算短信のPDFだけでなく、決算サマリーのWebページに、最新の売上高・利益・前期比・会社計画比を書く。数字の根拠を第三者ではなく自社にするための、一番の手段です。
  3. 考えや戦略は、すでに自社が根拠になっている。だからこそ最新に保つ リスクや強みは、半分以上が自社の情報から答えられています。社長メッセージや中期経営計画のページを、決算のたびに見直してください。
  4. ときどき、AIに自社のことを聞いてみる 「当社の直近の業績は?」「当社の強みは?」とAIに聞き、どのサイトを根拠に答えているかを確かめる。それだけでも、手を打つべき場所が見えてきます。

調査の方法

  • 対象:東証上場企業30社(市場・業種・規模がばらつくように選んだ24社と、評価が分かれた6社)
  • 方法:PerplexityとGeminiに、各社について投資家の5つの質問(直近の業績、業績変動の要因、来期の見通し、リスクと対処、投資ストーリー)を、出典の制限なしで質問(2026年10月1日)
  • 判定:AIが示した出典のページを取得し、回答の項目ごとに「正しい」「古い決算期」「誤り」などを判定(判定はAI〈Claude〉による)
  • 「会社自身の情報」:会社のドメインのほか、会社の資料を置いているIR配信サービスと東証の適時開示を含む
  • 規模:30社・2つのAIによる小規模な検証のため、傾向として受け止めてください

詳しい採点の方法は、IR BASEの「スコアの仕組み」をご覧ください。

「選ばれる情報源」になる

AIは、御社のIRサイトを必ず読んでくれるわけではありません。検索で見つかった情報源の中から、答えやすいものを選びます。業績の数字をWebページで示し、考えや戦略を最新に保つこと。それが、AIに自社を根拠として選んでもらうための近道です。

自社のIRサイトが、AIからどう読まれているか。IR BASEでは、投資家の5つの質問・25の項目ごとに判定と根拠をお示しできます。まずは一度、AIに自社のことを聞いてみるところから始めてみてください。

自社IRサイトの診断にご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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