【検証結果】「決算ハイライト」が年に1回しか更新されていない? Webページの業績の数字、半分は前の決算期!?

「決算ハイライト」「財務ハイライト」「業績・財務データ」。多くのIRサイトには、業績の数字をまとめたページがあります。人が見てもAIが見ても、業績を知るための入口になるページです。

IR BASEが東証上場企業3,321社のIRサイトを調べたところ、AIがWebページから取った直近の売上高・利益・前期比のうち、最新の決算期の数字は2割にとどまり、半分は前の決算期の数字でした。業績の入口となるページが、四半期決算のたびには更新されていない実態が見えてきました。

Webに業績の数字がある企業の、半数近くで「すべて古い」

AIがWebページから直近の売上高・利益・前期比を取れた企業は、1,576社でした。その根拠の数字を、最新の決算期のものかどうかで分けました。

Webページにあった業績の数字割合
最新の決算期の数字20%
前の決算期の数字50%
決算期が読み取れない30%

企業単位で見ると、1,576社のうち729社(46%)では、Webページにある業績の数字がすべて前の決算期のものでした。最新の決算期の数字がWebページに1つでもあった企業は336社。調べた3,321社の約1割にすぎません。

古い数字の97%は「通期」。四半期決算が反映されていない

古かった数字を詳しく見ると、はっきりした特徴がありました。古い数字の97%は、通期(年度)の数字だったのです。

最新の決算期からの古さ割合
1四半期分古い(前年度の通期の数字)61%
2〜3四半期分古い17%
1年以上古い21%

調べた時点(2026年10月3日)では、多くの企業の最新の決算は第1四半期や中間期です。それなのに、Webページに載っているのは前年度の通期の数字。決算ハイライトのページが通期決算のときに年1回だけ更新され、四半期決算では更新されていないことがうかがえます。

業績・財務のページだけで見ても、決算期が読み取れた数字の75%が前の決算期のものでした。業績の数字を載せるためのページこそ、古いままになっているのです。

なぜ問題なのか

投資家がAIに「この会社の直近の業績は?」と聞いたとき、AIはWebページとPDFの両方から答えを探します。最新の第1四半期の数字が決算短信のPDFにあっても、Webページに前年度の通期の数字が「業績」としてはっきり書かれていると、AIがそれを直近の業績として答えてしまうことがあります。

実際にAIに質問した検証でも、前の決算期の数字で答えた回答が一定の割合でありました(関連記事:「御社の『最新決算』、AIは1つ前の数字で答えているかもしれない」)。

人が見れば「これは前年度の数字だ」と分かっても、AIは取り違えることがあります。業績の入口になるページが古いままだと、それ自体が誤った答えの原因になりかねません。

うまくできている企業は「最新の決算」の置き場所を決めている

最新の四半期の数字を、業績のページに載せていた企業の例です(2026年10月3日時点。時期によってサイトが更新され、ページが開けない・無くなっていることがあるかもしれません)。

企業ページ掲載内容
中外製薬最新の決算のページ「当中間連結会計期間の売上収益は6,633億円(前年同期比14.7%増)」
SUBARU最新の決算のページ第1四半期の売上収益と前年同期との比較を表で掲載
双日「最新の決算」のハイライトページ第1四半期の数字と前年同期との差を掲載
バンダイナムコホールディングスハイライトのページ「売上高3,284億円(前年同期比 +280億円)」
東宝ハイライトのページ「営業収入は887億4千2百万円(前年同期比4.6%増)」

共通しているのは、「最新の決算」を載せる場所を決め、四半期ごとにそこを更新していることです。中外製薬やSUBARU、双日のように、ページ名やアドレスに「最新(latest)」を付けている企業もあります。

明日からできる4つのこと

  1. 決算ハイライトを、四半期決算のたびに更新する 通期の数字だけでなく、第1四半期・中間期・第3四半期の売上高・利益・前期比を載せる。
  2. 「最新の決算」のページを1つ決める 決算のたびに中身を差し替える固定のページを用意すれば、AIも人も、どこを見れば最新が分かるか迷いません。
  3. 数字には必ず対象期間を書く 例:「2027年3月期 第1四半期(2026年4月〜6月)」。期間が書いてあれば、古い数字が残っていてもAIが取り違えにくくなります。
  4. 通期の数字を残すなら、最新の四半期の数字を上に置く 複数年の表は便利ですが、最新の四半期が載っていなければ、「直近の業績」としては古い情報になります。

IRの作業量はほとんど増えません。決算短信を出すときにハイライトのページも一緒に更新することを、決算発表の手順に組み込むだけです。

調査の方法

  • 対象:東証上場企業のうち、IRサイトからWebページを5ページ以上取得できた3,321社(2026年10月3日時点)
  • 方法:IRサイトを自動でたどって集めたWebページ(1社あたり最大50ページ程度)から、AI(大規模言語モデル)が直近の売上高・利益・前期比の根拠を探し、その引用が実際にページ上に存在するかをプログラムで照合。1社につき3回判定し、項目ごとに多数決で決定
  • 「最新の決算期」:各社の決算期と開示の時期から、2026年10月3日時点で開示済みのはずの直近の決算期。根拠の文章に書かれた決算期がそれより前なら「前の決算期」、決算期が書かれていない数字は「読み取れない」とした
  • 「業績・財務のページ」:ページのURLに含まれる語(highlight、financial、resultsなど)から分類した推定

詳しい採点の方法は、IR BASEの「スコアの仕組み」をご覧ください。

決算発表の「手順」に、ページ更新を組み込む

決算ハイライトが古いままになるのは、多くの場合、四半期ごとの更新が手順に入っていないからでしょう。決算短信・説明資料と同じ日に、ハイライトのページも差し替える。それを決算発表のチェックリストに一行加えるだけで、AIが「直近の業績」として拾う数字を最新に保てます。

自社のIRサイトで、どのページの数字がAIに拾われ、それが最新かどうか。IR BASEでは、項目ごとの判定と根拠のページをお示しできます。次の四半期決算の前に、一度確かめてみてください。


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